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Mother Earth Concert vol.5 HOPE~希望~ 東日本大震災・津波遺児支援

「褒めるのではなく、認めましょう」

「褒めるのではなく、認めましょう」

検査の一場面です。

仮の名前をKくんとします。
Kくんは、検査室に入ることができましたが、椅子に座ることができずに部屋の隅にいます。

チラチラとこちらの様子をうかがってきますが、視線を返すと後ろを向いてしまいます。

あまり声をかけ過ぎずに、Kくんを含みつつ、お母様と話をすることにしました。
家では、どんな言葉が出てますか?
どんな物が好きですか?
どんな遊びをしていますか?

話が進むうちに
お母様から「自信をつけてもらいたくて褒めています」という言葉が出てきました。

そのうちKくんは後ろを向いたままで壁をトントンと叩きました。
わたしはそれに応えるようにテーブルをトントンと叩きました。

Kくんはちらっと振り返り、わたしを見てきます。

そこで声をかけるとまた後ろを向いてしまいます。

Kくんのトントンとわたしのトントンのやりとりは続きます。

そのうちにKくんは自分で椅子を近づけてきて一瞬座りました。

わたしも欲が出て、「Kくん、車はどれ?」と声をかけます。

Kくんは再び席を立ってしまいましたが、部屋の隅に行ったりお母さんの周りをウロウロしながら、だんだんとわたしに近づいてきました。

そして、腕にちょっと触れたり、後ろにまわり背中に触れたりしてくるようになりました。

「お母さん、わたしとKくんがだんだん距離が縮まり、仲良くなってきてるのが分かりますか?
Kくんは自分で間合いをはかっています。」

するとお母様は、
「つい、入りなさいって強引に押してしまっていました。待ってあげることも大事なのですね。」

「それから、園で大好きな先生なのに、間近で大きな声で声をかけられると逃げてしまうのがどうしてだかわかりました。そういうことなのですね」と。

そんな話をしていると、
Kくんは絵本のページの中の車を指差しました。

「これさっきの答えですね。」とお母様自ら気がつきました。
(車はどれ?に対し、5分以上も経ってからの返答)

そして、Kくんは自分から椅子を持ってきて、わたしの隣に座りました。声をかけても逃げなくなりました。

「お母さん、大事なのは褒めることじゃなくて、今みたいに自分で一歩を踏み出し体験すること、そこを受け取り認めることですね。」

検査室から出るKくんの足取りはしっかりと力強く、わたしは頼もしくその後ろ姿を確認しました。
(後から聞きましたが、その後の診察は、一人で椅子に座り、耳鼻科医に耳を診せることができたそうです。)

「自信をつけてもらいたくて褒めています」と言っていた母親と子どもが変わった瞬間です。

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