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五感の記憶と命

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失敗は物事を教えるまた学ぶいいチャンス!!

先日、3歳の男児を連れてご相談にいらっしゃったお母さんがいます。

相談内容を言葉に出すことが難しい様子でしたが、お顔の曇りをみていると、何か心にひっかかっている様子がありました。

少し動きの多い子どもさんでしたので、日々の生活の中でお子さんとの関係で悩んでいらっしゃる様子がうかがわれました。

 

わたしとお母さんが話していると、男児は飽きて、お母さんの鞄の中からペットボトルに入った飲み物を出しました。

お母さんは、「ここではダメよ。」と言いますが、男児は聞いていません。  勝手に蓋を開けて飲み始めました。

わたしは、『お母さん、飲む、飲まないではなくて、ここでは、飲む前に“飲んでいいですか?”と確認することを教えてあげましょう。』と言いました。

男児がまた同じ行動をした時に、わたしは『あれっ? なんて言うんだっけ?』と訊くと、男児は“飲んでもいいですか?”と訊いてくれました。

その時、お母さんがすかさず「だめよ。」と答えてしまいました。 当然男児は、その言葉を無視して飲み始めてしまいました。

タイミングとポイントがずれてしまいました。 これではさっきのやりとりが生きてきません。

さっきのやりとりを生かすためには、男児が“飲んでもいいですか?”と訊いたときに、「いいよ。」と答えてあげる必要があります。

 

そんなやりとりがありながら、帰り際、男児はある失敗をしてしまいます。

持っていたペットボトルの蓋を閉めていなかったので、ついうっかり中身をこぼしてしまったのです。

お母さんは「だからダメって言ったでしょう。」と怒ってしまいました。

わたしが床にこぼれた中身を一生懸命ふき取っていると、男児がその場に寄ってきて、自分のポケットからハンカチを出して一緒に拭こうとしてくれました。

これこそ見逃してはいけない行動です!!

『お母さん、見ましたか? もう悪かったということは充分わかっていますよ。 自分から拭こうとしてくれました。見てましたか? こぼしたことはもうしかる必要はありません。 あと一つ言ってあげないといけないことは、今度からはちゃんと蓋をして持って歩こうね、ということだけです。』

わたしは男児に言いました。『拭いてくれてありがとうね。 今度からは飲み物を手に持っているときは、ちゃんと蓋をしていないといけませんよ。』

男児はこっくりうなずいてくれました。

 

 「失敗と書いて経験と読む」、と言った方がいます。 まさにそうなのです。

行為だけに目がいってしますと、大事なポイントを見逃してしますので、注意しましょう!!

失敗は物事を教えるいいチャンス、また当人にとっては物事を学ぶいいチャンスなのです♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログはじめました。

いつもご訪問ありがとうございます。

この度、ホームページのリニューアルに伴い、過去のコラムとして、こちらの新しいブログ上に移動しました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

落ち着きのない子

(2008.10.19投稿分)

動きが激しくて、検査どころではない男児がいます。
さて、どうしましょう?


その男児は、部屋に入室してすぐに太鼓を発見し、ほしがりました。
わたしは、太鼓とバチを手渡しました。

するとその児は、素晴らしい腰つきで、太鼓を叩き始めました。
叩き方と腰つきが本当に素晴らしく、わたしは本当にびっくりしてしまいました。

思わずご両親に、「どこかで、やったことがあるのですか?」と訊きました。
「いいえ。チンドンやを一度見たことがあるだけです。」とご両親はお答えになりました。

彼の太鼓を中心に、即席音楽隊を結成してみました。
わたしはカスタネット、お母さんには鈴、お父さんにはマラカスを渡しました。
彼の太鼓のリズムに合わせて、それぞれが楽器を奏でました。
なんだかとってもたのしくなってきて、男児もご満悦の様子です。

しばらくそれでたのしみました。

すると、どうでしょう。
男児は自ら検査室へ入っていきました。



何かを強制されることを、子どもは嫌がるものです。
まずは、その子のリズムにこちらが合わせ、こちらを向いてくれるようになったら、こちらのリズムにも合わせてもらう、そんなやり方も大切です。


今回のポイントは、本児の好きなことをやらせたことと、もう一つは、それを通してエネルギーを発散させたことです。 
本児は太鼓を叩きながら足を踏み鳴らし、クライマックスにかけてそれは早く激しくなります。 その繰り返しで、内なるエネルギーを外に発散させることができました。

自分もたのしいし、相手も喜んでくれる、そんな時を一緒に過ごすと、子どもはそんな相手の言うことに耳を傾けようとしてくれるものです。



もし、あの時、あのことがなかったら・・・

(2008. 8.30投稿分)

3歳後半のお子さんを連れてお母様がご相談にみえました。
「言葉の意味はわかっているのですが、発音がわかりにくく心配です。」と。


出生時の様子をうかがうと、「心音が弱くて誘発剤を使いました。NICUへは12日間入り、輸血2日間、人工呼吸器を1日間つけました。」とおっしゃいます。

「声帯に異常はないですか?」「○○症候群を疑っているのですが?」などと質問をされてくるので、出生時のこと、気管内挿管されたことの影響を非常に心配されてることがわかりました。

実は、このお母様は看護師です。ですから、病気についての知識をいろいろお持ちです。


3歳後半という年齢ですので、発達検査は新版K式発達検査2001を施行しました。
境界域レベルという結果が出ました。

この事実を伝えることも必要ですが、これはあくまでも一つの指標です。大事なことはそれをふまえてどういう対応をしていくかということです。
このお子さんは、コミュニケーション力は非常に高く、ニコニコとかわいらしい、素晴らしい性質をもっていました。


『お母さん、出生時のことをずーっと気にされてきましたね。もし、あの時、あのことがなかったら・・・と思い続けてきませんでしたか?

でもね、それはもう変えようがない事実なのですよ。それはもう起こってしまったことです。そのことを思い続けている限り、それは永遠と続きます。すべてのことをそこと結びつけて考えてしまうのです。

それもあった、でも今、こうして元気に笑っているじゃないですか!
○○くんの笑顔は一級品ですよ。とても素直だし、かわいらしいお子さんです。
これはだれもが授かる能力ではないんですよ。
お勉強ができても笑顔で人とお話することが苦手な子どもさんだっているのです。

○○くんは、まわりの人にとてもかわいがられることになるでしょうし、まわりの人に明るさを与えることができるでしょう。

○○くんにことばだけでの話が伝わりにくかったら、噛み砕いてわかりやすく話してあげてください。それでも伝わらないときは、絵や写真をみせて、わかるようにしてあげてください。 そのような工夫をしていけばいいのです。

子どもさんはどこで伸びをみせるかわかりませんから、発達に関しては経過をみていくといいでしょう。

声帯には異常がある声ではありません。発音は今の段階ではもう少し様子をみていくことです。

せっかくですから、○○くんと過ごす今の時間をたのしんでいきましょう♪♪』


「確かにそうです。主治医にも○○症候群かどうかはわからない。様子をみていくしかないと言われていました。
今まで生まれたときのことが頭から離れなかったのです。
でも、今日ここにきて、本当によかったです。つっかえていたものが外れました。
明るい希望がみえてきました。」
とにっこりと笑顔をみせてくださいました。


この瞬間、このお母さんは出生時の事実を含めて○○くんのことをまるごと受け入れられたのだと思います。
"受け入れる"ことができると、次にすすめるようになります。
そこに時間がかかるときもありますが、このお母さんは瞬時に受け入れることができました。きっと散々苦しんで、ご自分でも変わりたかったのでしょう。
お母さん自身の力で次にポンと歩み出しました♪


困難をもちながらも元気!それこそが素晴らしいこと!!

(2008. 6.27投稿分)

小学3年生男児。
フラフラしていて落ち着きがなく、どこまでわかっているかな?と思うくらいなんだか幼い印象。

聴力検査の結果、中等度の難聴。
高音域は正常だからか?構音障害はなし。

知能検査はWISC-Ⅲを施行。
動作性は正常範囲。 言語性は軽度の遅れ~境界域。
難聴によると考えられる言語の遅れはあるが、知的には正常域だ!!

やり方は丁寧で真面目。
時間はかかっても最後までやり通す力もある。
「友達のボールをなくしてしまったらどうしたらいいか?」という質問にも、『友達に謝る。新しいボールを買って返す。』と応答でき、道徳的理解もできている。


母親の主訴は、
"3回くらい言わないと返事をしないから聞こえが心配だ、
学校では自閉症の女の子とだけ遊んでいて、この子は遅れがあるのか?
夫と別居中だがケンカをしていた時期があり、心が病んでいるのではないか?"
というものだった。


医師からは、「難聴があるため、ことばが遅れていることが考えられます。補聴器を試してみましょう。」と指示された。

すると母親は、『え~っ、補聴器ですか?つけないとだめですか?』とショックを受けている。
そして、『え~耳も?! 先週ホルモン治療を受けることになってそれも大変だと思っていたところだったのに。 目も右目が悪いし、アレルギーもあるし。 全部だ。 
なんかあるんでしょうか? こんな子どもいますか?』・・・と続き、涙する。


その後のフォローはわたしに任される。
お母さんと二人で話をする。 

「お母さん、○○くんは、素晴らしいお子さんですよ!! 
知的な遅れはありません。物の理解、判断、いずれもよくできます。
ただし、難聴があるため、言語の力は劣ります。そのため、同年代の男児との会話のスピードについていけないのかもしれません。
心が病んで起こる難聴もありますが、その症状はありません。○○くんの心は元気です。」

『そうですか?本当?よかったです。 アレルギーがあるから毎日弁当で、それで友達からはいじめられたようなんです。』

「お母さん、○○くんのことを、ここが足りないここも足りない、ここがだめだ、ここもだめだ、という見方をしないでくださいね。 
耳がきこえにくくても、目が見えにくくても、アレルギーがあっても、ホルモンの異常があっても、その状態そのままもっているのが○○くんなんですよ。 それで完璧な状態で生まれてきたのです。

そのような症状をもっていても、いじめられてもめげもせず、卑屈にもならず、明るく元気でいる、これこそがとても素晴らしいことなんです!!

お母さんがそういう目で見てくれたら、子どもさんは嬉しいはずなのです。
今日から、○○くんのいいところを見ていきましょう!補聴器もためしてみましょうね!」

母親は『ありがとうございます』と言って、補聴器を手にお子さんとともに帰っていきました。



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